REHABILITATION

回復期リハビリ病棟の紹介

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回復期リハビリテーション病棟とは

回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの病気や怪我で急性期を脱しても、まだ医学的・社会的・心理的なサポートが必要な患者様に対して、多くの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です。

サポートが必要な患者様に対し、チームの各担当スタッフが入院後すぐ、寝たきりにならないよう、起きる、食べる、歩く、トイレへ行く、お風呂に入るなど(これらを「日常生活動作」(ADL)といいます)への積極的な働きかけで改善を図り、家庭復帰を支援していきます。各病棟は入院中提供されるリハビリテーション・ケアの体制の違いにより、制度上「入院1」から「入院6」まで、6つのグレード(段階)に分かれています。(当院は「入院1」です)

資料出典:厚生労働省 告示 第58号
回復期リハビリテーションを要する状態及び算定上限日数(2020度年改定・別表9)

疾患
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、 多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要する状態
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態
股関節又は膝関節の置換術後の状態

多職種の連携(各職種紹介)

多職種の連携(各職種紹介)

図にある通り、患者様を中心として多職種がチームとなり、
連携して入院から退院までをサポートしています。

当院リハビリテーション専門職の紹介

理学療法士

理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。さらに詳しい説明は下記ページをご覧ください。

理学療法士

作業療法士

「作業」は誰でもしていることであり、食べたり入浴したり、人の日常生活に関わる全ての諸活動を言います。作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助です。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指します。さらに詳しい説明は下記ページをご覧ください。

作業療法士

言語聴覚士

言語聴覚士とは、「話す」「聞く」「食べる」のスペシャリストです。私たちは『ことば』によってお互いの気持ちや考えを伝え合い、経験や知識を共有して生活をしています。『ことば』によるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士は『ことば』によるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。さらに詳しい説明は下記ページをご覧ください。

言語聴覚士

リハビリテーション室・回復期病棟の紹介

回復期病棟の紹介

当院は5階建てです。最上階の5階がリハビリテーション室、2階~4階は患者様が入院する病棟です。回復期病棟では退院後の生活を踏まえてできる限り病棟内でリハビリテーションを行っています。カンファレンス室では入院時の説明や退院に向けた意向の確認など、患者様・ご家族と一緒に話し合いを行っています。

回復期病棟
回復期病棟

リハビリテーション室の紹介

リハビリテーション室は5階にあり、様々な機器を導入しています。患者様の要望に応えられるようにスタッフと相談しながら機能回復を目指します。リハビリテーション技術科について詳しくはこちら

リハビリテーション室
リハビリテーション室

令和5年度 診療実績

(令和5年4月1日~令和5年9月31日に退院した患者170名の分析)

回復期リハビリテーション病棟

急性期病院での治療を終えた方へ、自宅や社会への復帰へ向けた集中的なリハビリ支援に力を入れています。

1. 疾患別患者数割合

疾患別患者数割合
  • 令和5年4月~令和5年9月に退院した患者数は170名、その内の45.8%の方が脳血管疾患、53.6%の方が運動器疾患、残りの4.2%が廃用症候群の方でした。
  • 脳血管疾患では脳梗塞、脳出血の順に、運動器疾患では大腿骨骨折、変形性膝関節症脊椎および脊髄術後、変形性膝関節症のの順に割合が多く占めています。

2. 疾患別平均入院日数

疾患別平均入院日数
  • 退院までの平均日数を疾患別に見た資料です。なお、入院できる上限日数は以下の様に定められています。

    脳血管疾患:150日(180日
    高次脳機能障害を伴うもの等

    運動器疾患:90日(60日
    神経、筋又は靱帯損傷等

    廃用症候群:90日

3. 退院先割合(在宅復帰率)

退院先割合(在宅復帰率)
  • 自宅等の家庭への退院が82.9%を占めており、次いで介護老人保健施設(老健)が9.4%、有料老人ホーム等3.5%、特別養護老人ホーム2.9%となっています。
  • 在宅復帰率(社会福祉施設や有料老人ホーム等も含む)は上半期で89.4%でした。

4. リハビリテーション平均提供単位数

リハビリテーション平均提供単位数
  • 左記は疾患別での1日当たりの平均提供単位数です。リハビリ総提供単位数をリハビリの実施日数で割って算出しています。(1単位は20分間のリハビリを提供)
  • 脳血管疾患が1日9単位を上限、運動器疾患と廃用症候群は1日6単位を上限としてリハビリを提供しています。

5. 回復期リハビリテーション実績指数

2023年4月~2023年9月 実績指数:54.7
  • 実績指数とは入院日数とその間の運動機能の向上を数値化した指標で、この点数が高いほど短い期間で身体機能が向上したことを意味します。

    計算式 各患者の 退棟時のFIM 運動項目の得点ー入棟時のFIM 運動項目の得点 の総和各患者の 入棟から退院までの日数÷ 患者の入棟時の状態に応じた算定上限日数 の総和

6. 重症患者割合

新規入院患者のうち重症患者の割合:49.0%
  • 重症患者とは入棟時における機能的自立度評価(FIMと呼ばれていて13の運動項目と、5個の認知項目を各項目7段階で点数化し評価しています。点数が小さいほど介助量が多いという評価になります)が55点以下の患者のことを指します。当院では機能的自立度評価(FIM)を採用し、評価しています。

7. 重症患者の改善割合

退院した患者のうち重症患者の割合:56.6%
重症患者のうち16点以上改善した患者の割合:61.2%
  • 入院時と比べて機能的自立評価(FIM)が16点以上改善した上記患者数は60人でした。

8. 年齢・性別 入院患者割合

  • 当院では70代、80代の患者層が約7割を占めています。
  • 10代、20代の若年層、働き盛りである30〜60代の方もリハビリ入院されています。

9. 地域別入院患者の割合

  • 当院に入院された患者の約57%が横浜市民、約31%が川崎市民でした。

リハビリテーション機器紹介

当院のリハビリテーション機器についてご紹介します。リハビリテーション機器は安全・安心にご使用いただくために、各セラピストが患者様の身体機能を評価します。個々の回復過程に合わせて適切な機器を医師と相談して使用しています。下記の写真をクリックすれば詳しい説明を見ることができます。

上記当院リハ機器関連リンクはこちら

株式会社モリトー様
http://www.moritoh.co.jp/menu-tanpopo/
OG Wellness様
https://www.og-wellness.jp/contents/product/ct7/
インターリハ株式会社様
https://www.irc-web.co.jp/multiparallelbar
パシフィックサプライ株式会社様
https://www.p-supply.co.jp/products/index.php?act=detail&pid=686
株式会社クレアクト様
https://www.creact.co.jp/category/item/welfare/attention
インターリハ株式会社様
https://www.irc-web.co.jp/arat
OG Wellness様
https://www.og-wellness.jp/product/rehabilitation/psb300l-r-gl-gr
酒井医療様
https://www.sakaimed.co.jp/rehabilitation/physio-therapy/electric_current/physioactivehv/
ユニメック株式会社様
http://www.kk-umc.co.jp/
OG Wellness様
https://www.og-wellness.jp/contents/product/gd611-612/
株式会社エスケーエレクトロニクス様
http://www.sk-el.co.jp/products/hc/wilmo/
パシフィックサプライ株式会社様
https://www.p-supply.co.jp/products/index.php?act=detail&pid=344
ユニメック株式会社
http://www.hu-tech.co.jp/contents/products/ICpro-K2.html
酒井医療様
https://www.sakaimed.co.jp/rehabilitation/exercise-therapy/care_prevention/pre-step/
株式会社プロティア・ジャパン様
https://power-plate.co.jp/
株式会社インボディ・ジャパン様
https://www.inbody.co.jp/
インターリハ株式会社様
https://www.irc-web.co.jp/cognibike
長寿医療センターホームページ
https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/kenshu/27-4.html

リハビリテーションの必要性

回復期リハビリテーション病棟は2000年4月に制度化され、現在では8万床を超える病床が全国に整備されています。当時は「寝たきりを防止してADL※1を向上し、在宅復帰を促進する」というものでした1)が、現在では在宅復帰を目標にチームアプローチが行われています。回復期リハビリテーション病棟では、急性期の病院とは大きく異なり、リハビリテーションを中心に入院中多くの時間がリハビリテーションに割かれます。訓練は365日行い、患者様の状況に合わせて一日最大3時間行われています。リハビリテーションとはもともとはラテン語で、re(再び)+habilis(適する)からきているそうです。WHO(世界保健機構)の定義では「リハビリテーションは障害(能力低下や社会的不利)及びそれにもたらす状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。さらにリハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うだけでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身、家族、彼らが住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わり合わなければならない。」とされています。つまりリハビリテーションは身体の機能を改善するだけではありません。当院の回復期リハビリテーション病棟では身体機能の改善は当然のことながら、その方一人ひとりの「くらし」に合わせて適した環境を作っていくことも患者様やご家族と相談しながら行っております。そこでリハビリテーション技術科の理念としても、一人でも多くの人が、健康と幸福に喜びを感じられる社会の実現に向けて、患者様第一に、一人ひとりが適した場所で暮らし続けられることを掲げています。

リハビリテーションの必要性

以前は病気が安定してからリハビリテーションが行われていました。そのため安静期間が長くなり、廃用症候群(寝たきりの状態など)になってしまう方も多くいらっしゃいました。荷重刺激がなくなると骨や関節も脆くなることが考えられます。筋力は安静にするとすぐに低下することがわかっており、1週間で10%~15%低下するとも言われています。そのため現在では術前や術後直後から急性期の病院にてリハビリテーションが行われるようになりました。しかしながら急性期病院でのリハビリテーションでは回復が間に合わない、リハビリテーションに専念するための環境が整っていないなどの理由から回復期リハビリテーション病棟へ入院されることもあります。特に脳卒中後のリハビリテーションにおいては、回復最初の6カ月に大きな改善が見込めるという報告2)があり、早期から回復期リハビリテーション病棟で入院中多くの時間を活動的に過ごしていただき、集中的にリハビリテーションを実施することでADLの改善が見込めます。また介護練習や介護保険サービスの相談、在宅環境相談など、退院後の生活を考えた上での支援を受けることが可能です。実際に訓練時間を増やした集中的なリハビリテーションの効果は報告されており3)、早期から充実した訓練を受けることで廃用症候群を予防し、社会復帰を目指しております。

1 ADLとは日常生活動作(Activities of Daily Living)のこと。ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指す。日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作で、「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作のこと。

  1. 三橋 尚志 リハビリテーション通じ地域づくりを 回復期リハビリテーション2019;18(2).
  2. Green JB Brain reorganization after stroke. Top Stroke Rehabil 2003; 10(3): 1-20.
  3. 池永 康規、高橋 友哉、後藤 伸介 回復期リハビリテーション病棟における訓練時間増加の効果 Jpn J Rehabil Med 2008; 45 : 744-749.